大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

大阪地方裁判所 昭和39年(わ)575号 判決 1967年10月02日

本店所在地

大阪府茨木市永代町六番五号

三和住宅株式会社

右代表者

前田守信

本籍並びに住居

同市大字水尾七三番地

三和住宅株式会社代表取締役

前田守信

昭和四年五月五日生

右のものらに対する法人税法違反被告事件について、当裁判所は検察官中川瑞夫出席のうえ審理を遂げ、次のとおり判決する。

主文

被告三和住宅株式会社を、判示第一の一、二の各罪につきそれぞれ罰金一一〇万円に、判示第一の三の罪につき、罰金一〇〇万円に、

被告人前田守信を懲役八月に

各処する。

ただし、被告人前田守信に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予する。

訴訟費用中、証人富山覚、同秋山元助、同中路中、同国方良子、同立石松雄、同釜田義一、同岡田虎太郎、同室田武春、同後藤文吉、同山本健に各支給した分は被告三和住宅株式会社並びに被告人前田守信の連帯負担とする。

理由

第一事実

被告三和住宅株式会社は、大阪府茨木市大字茨木二九〇番地の六に本店を置き、土地建物の販売等を営業目的とする株式会社であり、被告人前田守信は被告会社の代表取締役として、被告会社の業務を統轄するものであつたところ、被告人前田守信は、被告会社の業務に関し、法人税を免れる目的をもつて、

一、昭和三五年一月一日より同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が一六、七三五、四七五円で、これに対する法人税額が六、二五九、四五〇円であつたにも拘らず、公表経理上、土地建物の売上高の一部を除外し、架空の売却原価を計上する等の不正な方法により、右所得金額中、一五、七三三、九四〇円を秘匿し、同三六年二月二八日、同市所在の所轄茨木税務署において、同署長宛に、被告会社の右事業年度における所得金額が一、〇〇一、五三五円で、これに対する法人税額が三三〇、四九〇円である旨所得金額等を過少に虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、右秘匿所得に対する法人税五、九二八、九六〇円は法定の納付期限を経過するもこれを納付せず、もつて、不正な行為により右同額の法人税を逋脱し、

二、同三六年一月一日より同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が二〇、四〇九、三五五円で、これに対する法人税額が七、六四五、六三〇円であつたにも拘らず、公表経理上、土地建物の売上高の一部を除外し、かつ架空の土地原価、材料費を計上する等の不正な方法により、右所得金額中、一四、九三六、三九〇円を秘匿し、同三七年二月二八日、前記税務署において、同署長宛に、被告会社の右事業年度における所得金額が五、四七二、九六五円で、これに対する法人税額が一、九七〇、〇六〇円である旨所得金額等を過少に虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、右秘匿所得に対する法人税五、六七五、五七〇円は法定の納付期限を経過するもこれを納付せず、もつて、不正な行為により同額の法人税を逋脱し、

三、同三七年一月一日より同年一二月三一日までの事業年度における被告会社の所得金額が一四、一二三、四一七円で、これに対する法人税額が五、二六六、八九〇円であつたにも拘らず、公表経理上、土地建物売上高の一部を除外し、かつ、架空の材料費等を計上する等の不正な方法により、右所得金額中、一二、七八二、九九八円を秘匿し、同三八年二月二八日、前記税務署において、同署長宛に、被告会社の右事業年度における所得金額が一、二四〇、四一九円で、これに対する法人税額が四〇九、三三〇円である旨所得金額等を過少に虚偽記載した法人税確定申告書を提出し、右秘匿所得に対する法人税四、八五七、五六〇円は法定の納付期限を経過するも、これを納入せず、もつて、不正な行為により右同額の法人税を逋脱し

たものである。

第二、証拠

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書九通、並びに検察官に対する供述調書四通

一、茨木税務署長の証明書三通

一、被告会社代表者の証明書

一、登記簿謄本

一、久米康允、和布浦幸太郎、荒木伊太郎、今井健次、岡本英秋、上村伊太郎、大石葉子(二通)、前田美智子の大蔵事務官に対する各質問てん末書

一、山室積、村上万蔵、岡本芳江、上村良子(二通)、岡田虎太郎、西谷久雄、堀内紀男、上田智、李周相、朴栄哲、伊東義人、静清次、芹生佐太郎、前田助八郎、堤野信三、本谷隆三、大石葉子、年梅栄美子、池上正次の検察官に対する各供述調書

一、山室積、福島清治の各確認書

一、中路中の検察官に対する任意提出書

一、公判調書中の証人富山覚(第一一回公判)、同秋山元助(第一二回公判)、同中路中(同)、同国方良子(同)、同里見一郎(第一三回公判)、同首藤文代(第一四回公判)、同立石松雄(第一七、一八、二〇、二一回各公判)の各供述部分

一、証人秋山之助尋問調書

一、証人岡田虎太郎、同奥川豊の当公判廷における各供述

一、大蔵事務官堀井利明の証明書

一、大阪地方貯金局作成の「郵便貯金の預払状況について(回答)」と題する書面

一、大蔵事務官作成の犯則税額計算書並びに脱税額計算書(三通)

一、押収してある総勘定元帳三冊(昭和四〇年押第七四八号の一ないし三)、不動産売買契約証書二通(同号の四五)、買戻条件は売買契約証書二通(同号の六、七)、約束手形三通(同号の八ないし一〇)、振替伝票二綴(同号の一一、一二)

第三、適条

一、被告人前田守信について、

法人税法違反の点について、各同法第四八条第一項(昭和四〇年法律第三四号による改正前のもの)(各懲役刑選択)

併合罪の点について、刑法第四五条前段、第四七条本文、第一〇条

執行猶予の点について、同法第二五条第一項

訴訟費用の点について、刑事訴訟法第一八一条第一項本文、第一八二条

二、被告会社について、

法人税法違反の点について、各同法第五一条第一項、第四八条第一項(昭和四〇年法律第三四号による改正前のもの)

訴訟費用の点について、刑事訴訟法第一八一条第一項本文、第一八二条

よつて、主文のとおり判決する。

(裁判官 松下寿夫)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例